DINKsとは共働きで子供を持たない夫婦をいいます。夫婦双方に収入があり子供のための養育費や教育費が必要ないDINKsにとって、老後資金に関する心配はさほど必要ないようにも思えます。しかし実際には、夫婦二人だからこそ老後に関して注意すべき点があります。今回はDINKsが知っておくべき老後資金に対する考え方や貯め方のコツをご紹介していきます。
DINKsほど老後資金についてしっかり考えたほうがよい理由
DINKsは共働き世帯で子供がいないため経済的に余裕のある人が多いという特徴があります。その理由は、夫婦の合計年収が高い割に、子供の養育費や教育費の負担がかからないためです。また老後の資金についても、夫婦ともに正社員であれば2人とも厚生年金を受給でき、2人分の退職金をもらうことができます。
しかしDINKsの中には家計に余裕が生じる分、浪費をしてしまいがちなご夫婦もおられるようです。生活水準が高いのが当然になり、セカンドライフでもその水準を下げたくないと考える方がいるようです。生活を続けるためのコストが高くつき、退職金と公的年金だけでは十分ではなくなる可能性も出てきます。
また子供がいないため、老後に経済的な面も含めて面倒を見てくれる身内がいないという点も考慮すべきでしょう。今後、ITなどの発展がより進んで社会状況が大きく変わったときにも、自分たちだけで対応していかなければならないというのも気がかりな要素です。高齢者向けの手厚い民間サービスを受けるとすれば、そのためにもより多くの資金が必要になります。
総じて、DINKsには十分な老後資金があるケースが多いものの、リタイア後も今と同レベルの生活を続けることを望むなら、老後資金についてしっかりと考え、準備しておくことが必要だと言えます。
DINKsの場合、老後資金はどれくらいあると安心?
DINKsで、夫婦がともに正社員だったとすれば、厚生年金の合計額は月額30万円程度になるはずです。しかし、DINKs夫婦の合計年収が1,000万円レベルだったとすれば、毎月の生活費は40~50万円というケースが多いと考えられます。となれば年金30万円では少なくとも月10万円が不足し、その分は退職金を含めた貯蓄を切り崩していくことになります。
仮に年金生活が30年あるとすると、月10万円の不足分を補うには、大まかに3,600万円の貯蓄が必要という計算になります。一般的に老後資金は3,000万円を確保するのが目安と言われますが、DINKsの場合はそれよりももう少し多い額が必要と考えるべきです。年に数回は旅行に行ける程度の余裕も考慮すれば、4,000~5,000万円が老後資金の目標額になるでしょう。
DINKsの老後資金の貯め方のコツ
では、DINKsはどのようにして老後資金を貯めていけばよいのでしょうか。そのためのコツを挙げてみましょう。
お互いの収入状況を明らかにする
まず、手始めに夫婦でお互いの収入状況を知らせ合い、明確にすることをおすすめします。
というのも、DINKsだと長年財布を別々にしていて、お互いの収支については関知していない、よくわからないというケースが意外に多いためです。しかし、老後のライフプランを立てるためにはお互いに協力し合うことが不可欠です。この点が最初のハードルとなる場合も少なくありません。まずは将来の二人のために互いの収入や貯金、毎月かかる出費などをオープンにし、基礎データを作成するところから始めてください。
家計簿をつけて無駄遣いをなくす
現時点で老後もまったく生活水準を落とさないままで過ごせるだけの資金があるのなら、あとは無駄な出費さえしなければ老後は安泰とも言えます。しかし、現状から無駄遣いを減らすことができれば、生活水準をさほど落とすことなく、出費を抑えることも可能になります。
家計簿をつけることは昔ながらの方法ですが、無駄遣いをなくすために最も効果的な方法です。もしもこれまでしっかりとした家計簿をつけていなかったのなら、老後の生活を考えるのを機に新しい習慣としてぜひ始めてみてください。
保険の見直しを行う
現在まだ30代~50代であれば、資産形成のためにできることがいくつかあります。その1つが保険の見直しです。
今から保険に加入するなら、老後の医療費を補うための「医療保険」、生活費に加算するための「個人年金保険」、老々介護の負担軽減に役立つ「介護保険」または医療保険などの「介護特約」などの選択肢が考えられます。これらに対し、「終身保険」は死亡時の保障を目的とした保険なので、老後資金のためとして考えた場合はあまり効果的ではありません。
DINKsである自分たちにとってどのような保険が最も適しているのか、今一度考え直してみるとよいでしょう。
不動産などの投資を行う
何らかの投資によって収入を得る方法も確保しておけば、さらに老後資金を増やすことも可能になります。
金融商品に投資するなら、毎月5万円、10万円などと額を決め、ポートフォリオ(商品の組み合わせ)を考えて実践するのが一般的です。
不動産も有効な投資の手段のひとつです。マンション経営やアパート経営などの収益物件で安定した家賃収入が得られれば、老後の資金確保がラクになるでしょう。
また、自宅の購入も投資のうちに入ると言えます。とくに現在、賃貸で暮らしている場合は、現役のうちに老後の対策として自宅を購入するのはいかがでしょうか。マンションなどを購入した場合と賃貸に住み続けた場合でシミュレーションすると、住居に支払う額はさほど変わらないとよく言われます。しかし、賃貸には家賃の値上げや建て直しなどにより退去させられるリスクがあります。一方、住宅を購入すれば、万一のときには売却してキャッシュに変えるという選択肢も残されます。
DINKsの場合、老後資金に対する考え方は、セカンドライフをどのようにデザインするかによっても変わってきます。今の生活スタイルと生活水準を変えずに過ごしたいのか、それとも何かを少しずつ、あるいはガラリと変えるのかなどを決めて、その上でどのようにして老後資金を確保するかを考えてみてはいかがでしょうか。