とある中古マンション。その外観や間取り、内装も気に入りました。予算もぴったり。さあこの物件に決めよう!でも、ちょっと待ってください。気になりませんか?地震の時の耐震性。中古マンションを買う場合、どのようにして耐震性を見極めればよいのか、様々な角度からご紹介します。
中古マンションの寿命の目安
中古マンションの寿命について、実際の建物の減耗度を調査した結果、使用年数との関係から鉄筋コンクリートの造建物では117年と推定算出されています。これは、国土交通省が平成25年8月に発表した「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」という資料の中で発表された数値です。
但し、上記のデータは、マンションがきちんとした管理のもと、適切に修繕が行われていることを大前提にしています。
中古マンションを購入する前に覚えておきたい耐震性とは
耐震性とは、「建物が地震の揺れに耐えられる度合い」のことです。日本の法律で耐震規定が初めて定められたのは、関東大震災の翌年の1924年のことになります。当時、建築基準法はまだなく、「市街地建築物法」という法律の中で、耐震規定が定められていました。その後、1950年に建築基準法が制定され、その中で構造基準として、耐震に関する記載が盛り込まれました。
地震大国ともいわれる日本では、大地震のたびに耐震基準を見直し、改正を重ねてきました。建築基準法における耐震基準の中で、特に大きな改正となったのが、1981年に施工された「新耐震設計基準」です。現在では、この改正以前のものを「旧耐震基準」、これ以後のものを「新耐震基準」と呼んで区別しています。では、旧耐震基準と新耐震基準には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。以下で説明していきます。
旧耐震基準
旧耐震基準では、震度5程度の中程度の地震で倒壊しない程度という基準があります。しかし、建物がひび割れてしまい、その後住めなくなるなどの問題については、基準として盛り込まれていません。また、震度6~7程度の大地震に関しては特に考慮されておらず、基準もありません。
新耐震基準
新耐震基準では、震度5程度の中程度の地震ではほとんど損傷せず、震度6~7程度の大地震では倒壊・崩壊しない程度の耐震性を求めています。大地震における死者の大半が建物の倒壊が原因であることから、新耐震基準は地震の際に人命を助けることに重きを置いた基準であると言えます。実際に1995年の阪神淡路大震災では、新耐震基準で設計された建物に関しては被害が少なかったと言われています。
建築基準法で定められた耐震基準は、阪神淡路大震災や、新潟中越地震、耐震強度偽装問題などを経てその後も改正は続き、現在に至っています。
中古マンションを購入する前に! 耐震性の見極め方
では具体的に、どうすればマンションの耐震性を見極められるのでしょうか。ここでは、マンションの耐震性を見極めるポイントを解説していきます。
修繕履歴や計画表を確認する
ひとつは、修繕の履歴や計画表を確認することです。中古マンションは、外壁、屋上、共用部分などの経年劣化を補修するため、10年~15年程度の築年数が経過すると大々的に修繕工事を行うのが一般的です。修繕の履歴や計画表は、不動産会社を通し、マンションの管理組合に依頼をすれば見せてもらうことができるので必ずチェックしましょう。もちろん、リノベーション済みの物件であっても同じです。
外装部や共有部がある程度きれいかどうか
次にチェックすべきポイントは、外装部や共有部などの手入れが行き届いているか、ということです。先ほどの話とも関連しますが、外装部分を見れば修繕がいつ行われたのか、ある程度、見極めることができます。また共有スペースや植え込みは、管理の状態を知る目安になります。管理が行き届いている物件の場合なら、共有スペースや植え込みなどから整頓された雰囲気が感じられるでしょう。
1階がピロティーになっていないかどうか
1階がピロティーになっていないかどうかも、耐震性を確認する基準となります。ピロティーとは、構造様式として「1階部分を柱で持ち上げて壁のない外部空間と一体化させた構造」のことです。1階部分が駐車場になっている建物などがこれに当たります。
耐震診断の場合は少し異なり、「建物が鉄筋コンクリート造、又は鉄骨鉄筋コンクリート造」であり、なおかつ「下の階に壁がなく上の階に壁がある」ときにピロティーと判断します。
見るからに不安定なこの構造が認められているのは、新耐震基準の中で定められた「震度6~7程度の大地震でも倒壊・崩壊しないこと」という基準を、「倒壊さえしなければ、大きな被害があってもよい」と読み違えてしまった結果で、この問題に関する建築基準法の改定は現在もなされていません。ピロティーのある建物は、新耐震基準の建物であるにも関わらず耐震性が低く、2016年の熊本地震でも倒壊に近い被害があったことが分かっています。ピロティーのある中古マンションの購入は、耐震性の面からは要注意です。
マンションが建っている地盤は強いかどうか
マンションの耐震性を見極める上では、建物自体の強度だけではなく、地盤の強さも重要なポイントです。地盤が柔らかかったり水分を多く含んでいたりすると、液状化や地盤沈下が起こる可能性が高くなります。大きな地震が起きたときに地面から崩壊してしまうこともあるので、地盤の強さは確認するようにしましょう。
ンターネットで地盤の状態や災害リスクを確認する方法もあります。地盤に関する情報をマップで確認できる「地盤サポートマップ」や、国土交通省が提供している「ハザードマップ」などのサイトを利用すると便利です。
「地盤サポートマップ」 https://supportmap.jp/
「国土交通省ハザードマップポータルサイト」 https://disaportal.gsi.go.jp/
中古マンションの購入の際には、どうしても価格面だけに目がいきがちですが、地震の時の安全性も確認しておくことが大切です。新耐震基準だから必ずしも安心というわけでもありませんし、旧耐震だから耐震性能が低いと決まってしまうわけではありませんが、管理状態やピロティ―構造か否かなど、出来る範囲で確認しましょう。もしもマンションの選択に迷ったら、ぜひゼロアパにご相談ください。