マンションを購入する際に予め目を通すことをお勧めしたい書類が「重要事項に係る調査報告書」です。
調査報告書は管理会社が発行している書類で、各マンションおよび室内に関して事前に知っておくべき事柄を詳らかに記したものです。管理会社を使わず自主管理をしている物件であっても、仲介会社が理事長にヒアリングするなどして、同種の書類を作成していることが多く、ほぼ全てのマンションに報告書の存在を確認することができます。
その形式は様々で、要点のみを記載したA4サイズ1枚程度のものもあれば、20頁以上にわたる詳細な報告書もあります。
各マンションにより記載内容も異なりますが、不動産業者が契約書類を作成する際にも、管理に関する事項は、この調査報告書も参考にして作成しますので、それだけ重要な書類と言えるでしょう。購入後の住まいとして予め知りたい情報や知っておくと安心な情報が網羅されているので購入の検討に役立つツールのひとつとお考えください。
ごく一般的な報告書の内容は以下の通りです。
・物件の概要(物件名・所在地など)
・管理組合について(理事会役員数・理事会の選任方法など)
・管理費等(調査住戸の管理費、修繕積立金額・滞納状況)
・駐車場等(駐車場、駐輪場等の使用料・空き状況)
・駐車場等(駐車場、駐輪場等の使用料・空き状況)
・管理費等の改定予定(管理費、その他費用の改定予定の有無)
・専有部分について(ペット飼育・内装工事・楽器使用などに関する制限)
・長期修繕計画(計画の有無・大規模修繕工事予定の有無・工事履歴など)
・アスベスト使用調査(調査結果の記録の有無・調査内容など)
・耐震診断の内容(耐震診断の有無・診断の内容)
・管理会社について(会社名・連絡先など)
・管理室について(勤務形態・勤務日・連絡先など)
・その他(ネット環境・電力会社・TV共聴設備など)
マンションの会計や、駐車場等の空き状況、マンションのルールなど、住むうえで気になる内容が簡潔にまとめられています。
因みに調査報告書の取得は有料ですが、売却の依頼を受けた不動産業者が事前に取得していることが多く、その場合は無料で目を通すことも可能です。
さて重要なのはここから。この書類をどう活用するかということです。
私が自宅を購入した際は、チェックシートのように活用しました。
ペットを飼って良いのか、自家用車は駐車場に入るのかというような生活面のことはもちろん、建物の新耐震のことなど様々な観点から検討すべき材料を把握することで、事前に「知っていれば買わなかったのに」をなくすことができます。
検討している物件が想定予算ギリギリの範囲、という方であれば、当然月々支払うべき管理費や修繕積立金の値上がりを心配されますよね。
将来のことは誰にも分りません。もちろん維持費が上がる可能性はどのマンションにもあり得ますが、その可能性が高いかどうかは、調査報告書と長期修繕計画書を見ればある程度、予測することが可能です。
これに関しては、以前ゼロアパジャーナルで記載した「中古マンション購入術 長期修繕計画書編」に詳しく記載がありますのでご参照ください。
他にも旧耐震のマンションの場合、耐震診断が実施されているのであれば、診断書を確認することで、その物件が現状の耐震制度にどの程度適合しているのかを把握ことができます。
初めての不動産購入で、何をどう見れば良いか分らないという方は、担当者に「調査報告書から、マンションの懸念点は?良い点は?」と聞いてみてください。経験豊富な担当者であれば、しっかりと説明してくれるはずです。
因みに、私が担当者として必ずチェックする項目とは、管理費・修繕積立金、組合の借入金の有無、長期修繕計画書の有無、大規模修繕計画の予定、耐震診断の有無、アスベストの有無、ペットの可否などです。
このあたりは、特に購入するか否かの判断材料となる項目ではないかと思います。
ただし、前述のとおり調査報告書には大まかな内容しか記載されていないことも多いので、ペット飼育や事務所使用、リノベーションをする際のルールなど細かいことは、管理規約と使用細則等で、しっかり確認するようにしてください。
一番に確認したいポイントや、これだけは外せないという事は人によって様々です。
戸惑いがちなところですが、大切なことです。購入前に、調査報告書の内容をじっくりと確認することで「知っていれば買わなかったのに」というような後悔をひとつでも多く解消できるはずです。